スティーブン・スピルバーグはこの映画が好きで3回も見たそうです。
様々な映画レビューでは尽く高評価のこの映画。
一体どんなところが人々の心を掴むのでしょうか。
1、映画『きっとうまくいく』基本情報
2013年05月18日/ 製作国:インド / 上映時間:170分
監督:ラージクマール・ヒラーニ
脚本 :ラージクマール・ヒラーニ、ヴィドゥ・ヴィノード・チョープラー
アビジャート・ジョーシー
製作: ヴィドゥ・ヴィノード・チョープラー
出演者: アーミル・カーン、R・マドハヴァン、シャルマン・ジョーシー
ボーマン・イラニ、カリーナ・カプール、オミ・ヴァイディア
2、あらすじ
名門校に入ったランチョー、ファルハーンとラージューの3人。
学校の中でも一番頭のいいランチョーは既存の教育方法に疑問をもち、先生や学長にユニークな方法で異議を唱える。
ファルハーンとラージューはそんな彼の姿勢から多くのことを学び、友情を育んでいく。
しかし学校を卒業するとランチョーは姿を消してしまう。
卒業してから10年の時を経て、そんなランチョーをファルハーンとラージューは探す旅に出る。
3、薔薇子レビュー
「インド」って正直薔薇子にとっては、本当にいいイメージがありませんでした笑
というのが、インド旅行に行った時、何もかも「うまくいかなかった」からなのです。
インド人は嘘つきだし、しつこいし、すぐお金を取ろうとするし、不衛生だし(薔薇子はインドで壮絶な入院体験をしたためちょっとインドに恨みがある。インド好きの皆さんごめんなさい!!)
そんな国の映画見れるか!
と思い、しばらく見ていなかったのですが、あまりに周囲の人たちの評価が高いので、重い腰を上げ観ていると、本当に素晴らしい映画でした!
(※以下、多少のネタバレあり)
なぜこの映画がそこまで素晴らしいのかというとこの映画のテーマにあります。
この映画のテーマは、「既存の教育法への疑問」と「自由に生きる」ということです。
これは今となっては当たり前になってきつつある考え方ですが、この映画が制作された2009年にはまだまだ全然浸透していなかった考え方なので、さぞ衝撃的だったことだろうと思います。
この映画はコメディなのでユニークで笑えるところもいっぱいあるのですが、私たちに多くのメッセージを与えてくれます。
特にこの映画を見て感じたことは、インドと日本は似ているのかもしれないということ。
①既存の教育方法への疑問
テーマの一つ目。「教育方法」は、日本でも大きな問題です。
例えばセンター試験(全国共通テストに変わります)は、ただの暗記力を図るテストです。
暗記するだけの教育というのは、なにも発想力や創造力を養うことはできません。
暗記しろと言われたことをそのまま全て暗記すれば対応できるテストというのは、言われたことを確実にできる人間を量産するだけになってしまいます。
中高生を見ていると、「自由に考えろ」というのが苦手な子が本当に多い。
これはかつて薔薇子が教育現場にいたから実感していることです。
「どうすればいいですか」「どうやってやればいいですか」
これが口癖で、「自分で考えろ」というと不満そうな顔をする。
しかし明確にやることを指示するときちんとやる子は多い。
脳科学でも「言われたことをやる」というのは脳をそんなに使用しないため、脳のエネルギー消費が少なく、それを好む人が多いそうです。
センター試験なんてまさにそうですよね。
言われたことをやってればいい点数が取れて、それで合格の切符を手にすることができるんですから。
言われたことをやることが成功体験へとつながってしまうのですからそんな簡単なことはありません。
それはそれで必要なことではありますが、今の時代、言われたことができるというスキルは前ほどは重要ではなくなっていきます。
自分の手で物事を創り出していく、当たり前の考え方に疑問を持って自分で考える
そういうことを教えるのが真の教育なのですね。
それを『きっとうまくいく』でも主人公のランチョーが訴えています。
②自由に生きる
そして次に「自由な生き方」ということ。
今でこそ「嫌われる勇気」という書籍がベストセラーになったり、科学者などが「自由な生き方」を推奨していることで、それを意識する人が増えたと思います。
「恥の文化」という言葉を知っていますか?
この言葉は日本人が「恥」にならないように生きていることを表現した言葉です。
小さい頃から「そんなことをしたら恥ずかしいよ(他人の目を気にしなさい)」と言われてきた人は多いはずです。
そんな日本ですから、「自由な生き方」をしている人は本当に少ない。
他人にどう思われるか、親や上司に逆らえない、そんなことばかり考えている日本人には非常に難しい生き方なのです。
薔薇子もそうでした。
薔薇子は気づかぬうちに生き恥をさらしていたので、結局恥ずかしい人になってしまいましたが。
日本のそれとはちょっと違いますが、インドでは自由に生きることが日本よりもっと難しいのです。
インドはカースト制度がはっきり決まっている国。
自分の人生がもう決まっていることが多いのです。
親が進路も結婚も決めるという文化が根付いているこの国。
『きっとうまくいく』という映画はインドの人々には衝撃的だったのではないかと思います。
ランチョーは自由に自分の好きなことをしていく生き方を推奨し、また「きっとうまくいく」を口癖のように言います。
でもその言葉を言うときは、ただ何もしないで闇雲に言っているわけではありません。
何かに挑戦した時、誰かが挑戦する時にその言葉を言っています。
「自由」=「好き勝手やっている人」と考えている人は多いですが、
真の「自由」というものは、「自分で考え、行動する」ことだとフランスの思想家、モンテーニュも言っています。
そして「真の自由」を手にするものは、「人生を謳歌」できる人です。
私たちはいずれ死にます。
この世に生きている意味などないと思いませんか?
なんの意味もない人生を生きなければいけないのなら楽しい方が良くないですか?
誰かに従って、辛い思いや後悔を持って生きるのであれば、自分の気持ちに耳を傾けてもいいと思うのです。
この映画は全編を通して、それを教え続けてくれます。
自分に自信のない人や、生き方に疑問を持っている人、辛く悲しい思いをしている人
人生を楽しめていない人にとってはうってつけの映画!
3時間もありますが、きっと映画に釘付けになると思いますよ!!
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