1、映画『美女と野獣(Beauty and the Beast)基本情報
1992年/アメリカ/G/84分
監督 :ゲーリー・トゥルースデイル
カーク・ワイズ
脚本 :リンダ・ウールヴァートン
製作 :ドン・ハーン
製作総指揮 :ハワード・アッシュマン
音楽 :アラン・メンケン
編集 :ジョン・カーナカン
製作会社 :ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ
ウォルト・ディズニー・フィーチャー・アニメーション
受賞記録: | 1992年 第20回 アニー賞 映画部門 作品賞 1992年 第49回 ゴールデングローブ 作品賞(コメディ/ミュージカル) 1992年 第49回 ゴールデングローブ 音楽賞 |
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2、あらすじ
第64回アカデミー賞でアニメとしては初の作品賞にノミネートされたディズニー・アニメ。魔女によって醜い野獣の姿に変えられた王子がいた。人間に戻るには「愛し、愛される」ことが条件。
ある日、野獣の住むお城にひとりの老人(モーリス)が迷い込む。モーリスを捜していた彼の娘(ベル)もやって来る。ベルは自分が父の身代わりになり、父を解放してもらう。
野獣はベルとともに暮らすうちに少しずつ人間の心を取り戻していくのだが、果たして人間に戻ることができるのだろうか……。
3、『美女と野獣』制作秘話
ウォルトディズニーが亡くなってからディズニーアニメは行き詰まりを見せていましたが、『リトルマーメイド』に続いて大ヒットを記録し、ディズニー第二黄金期の代表的な作品として絶大な人気を誇ります。
実は『美女と野獣』の制作期間は、たった2年。
通常3〜4年かかるアニメ映画としては非常に短い作品です。
しかし公開した時には絶賛の嵐。
史上初めてアニメ作品である『美女と野獣』が、アカデミー賞作品賞としてノミネートされました。
①ハワード・アシュマンとアランメンケン
『美女と野獣』の作品を語る上で忘れてはいけないのがハワード・アシュマン。
『リトルマーメイド』の曲の作詞でも知られており、作曲を担当したアラン・メンケンとゴールデンコンビと呼ばれています。
『美女と野獣』でも再びアラン・メンケンとタッグを組み、作詞を担当しましたが、彼がした貢献はそれだけではありません。
ブロードウェイを意識したミュージカルを『美女と野獣』の映画に反映し、声優たちの演技指導もしました。
また、主要キャラクターのルミエールやコグスワースなどお城の召使であるキャラクターたちに生き生きとした個性を与えたのも彼。はじめ、お城の召使のキャラクターたちは、ただそこにいるだけの亡霊のような役割だったそう。ハワードがこれらのキャラクターにも性格を与えよう」と言って可愛らしいキャラクターたちが誕生したそうですよ。
そんな多大な貢献をしたハワードでしたが、エイズにかかっており、作品の完成をみることなくこの世を去りました。
息も絶え絶えになりながら、このアニメに尽力したそうです。
そんな彼を支えるべく、他のアニメーターたちもわざわざ彼の自宅近くに住んで一緒に仕事に取り組んだそう。
多くのスタッフたちの子も作品に対する真摯な取り組みや、愛情、優しさが詰まった作品だからこそ、素晴らしい普及の名作『美女と野獣』が誕生したのですね。
②キャラクター研究
各キャラクターを担当したアニメーターたちは、試行錯誤をし、愛すべきキャラクターを誕生させました。
例えば、ベルを担当したアニメーターは、ベルの美しさを表現するため、バレエを研究し、それを活かしたそうです。
だからベルの歩き方一つとってもとても優雅で美しいのですね。
野獣を担当したアニメーターは、多くの野獣案を出したそう。
はじめは気色悪いものも多く、「クワガタ野獣」や、「カマキリ野獣」、そして何と「魚頭野獣」なんてものもあったそう。
結局は、牛とゴリラ(他にもいろんな部位に様々な動物を反映させていますが)の組み合わせに決まり、動きを研究するため、動物園に通い詰めたそうです。
③初のCGアニメーション
今ではよく見かけるCGアニメーションでしたが、1989〜1991年当時は非常に珍しい技術でした。
その技術がディズニーアニメ作品としては初めてダンスホールのシーンで使用されます。
平面的ではなく、二人のダンスシーンを下から上へ、上から下へと見ることができます。
このカメラを上下する、実写風のカメラワークは革命的な技術でした。
CGを使用することが不安だったアニメーターたちは、CGを使用しない、ベルと野獣がスポットライトのなかで踊るという代替案まで用意していたそうですよ。
4、薔薇子レビュー
実は薔薇子が映画の中で一番好きな作品『美女と野獣』
薔薇子の半分は『美女と野獣』でできていると言っても過言ではありません。
当時は珍しいCG技術が用いられたダンスホールは圧巻の美しさです。
薔薇子も少女時代、ベルと野獣が踊るダンスホールのシーンを見て、えも言われぬ感動を覚えたことを今でも忘れられません。
またアニメを彩る音楽もまた、映像の美しさに見事に融合しています。
作曲を努めたアラン・メンケンと作詞を努めたハワード・アシュマンのゴールデンコンビが創り出した美しい音楽は聴いたものの心に強く響きます。
薔薇子的には、湯川れいこさんの日本語訳も秀逸だと思っています。
英語に対し忠実な日本語訳ではないですが、物語の本質を捉えている見事な訳であり、薔薇子は英語で見ても日本語で見ても本当に素晴らしいと思うのです。
少女時代から大人になるまで、何度も何度も観た作品。
見るたびに新しい発見をくれる、この優しさと美しさに溢れた作品を愛さずにはいられないのです。
5、映画の舞台
『美女と野獣』はフランスのお話。もちろんモデルとなった町もフランスにあります。
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