インド旅行記2 〜だまされる日本人編〜

世界ドタバタ旅行記

インド旅行記1はこちら↓

インド旅行記1 〜夜行列車編〜
これはかつて薔薇子がインドに行った時の記録である。薔薇子はインドで入院したため、退屈な入院生活の中で書いた記録である。薔薇子のインド旅行はカルカッタ(インドの首都)というところから始まった。カルカッ...

ガンジス川がきれいに見えると言われている土地、 バラナシに着いた。

バラナシをあてもなくダラダラと歩いていると わりと堪能な日本語で話しかけてくるインド人がすごく多い。

地球の歩き方に 「日本語を話せるインド人はぼったくりなので注意! 」と書いてあったので薔薇子は無視することに決めた。

ぼったくりである可能性が高いことに加え、インドに来てまで日本語で話して楽しみたいなんて思っていない。

ところが奴らは本当に本当にしつこいのである。

こっちが一切話さなくても、ずーっと話し続けるのである。

話しかけの決まり文句は全員同じで

名前と日本の出身地と大学生かどうか、

インドに来て何日目か

ということを一通り聞いたあと、

それでもこっちが問いかけに答えずにいると

「なんで黙ってるの?

そんなにインド人が信用できないなら来た意味ないじゃん!
(これは一理ある。でもにこやかに返すとしつこいんだもん。)

インド人が全員悪い奴らだと思ったら大間違いだよ!

どうしてインド来たんだよ!」 と続くのである。

勝手に話しかけて来て勝手に説教を始めるのである。

こっちが走って逃げるまでどこまででもついてくるのだ。

やっと去ったと思いきや一分もたたずに、 別のインド人がやってくる。

一難去ってまた一難ならぬ

一インド人去ってまた一インド人

なのだ。

もちろん日本語を話さない親切な人もたくさんいる。リクシャ(人力車)のおじさん。
子供はみんな可愛かった。

特にしつこかったかなり日本語が堪能なインド人をやっと振り払ったあと 二人の日本人の学生らしき男の子たちが話しかけてきた。

後ろにはあのインド人がいる。

「あの~、こいつ本当にいいやつなんで無視しないでください。

ぼったくったりしませんから。」 とか言ってきたのだ。

そんなことを日本人に言わせてまで薔薇子と話したいなんて

こりゃ何か裏があるに違いない。

薔薇子は 「わかりました。無視しません。」 といい しばらくそのインド人と話してみることに決めた。

シンジという日本語名を名乗るこのインド人は 確かに本当に賢い男だった。

なんだか説教じみたことや哲学的なことをずっと薔薇子に話し続けている。

賢いからこそ、その獲物を捕らえるかのような目が怖い。

シンジという名前すら「信じろ」 という暗示をかけるために名乗っている気がする。

ますますシンジられない。


一緒に過ごしているうちに日本語を話す輩は だいたい全てムケさん というインド人につながっていることがわかった。

そのムケさん という男、 バラナシに滞在する日本人で知らない者はいないと言っても過言ではない。

14年前に深夜特急(バックパッカーの聖書と呼ばれる小説)という大沢たかおが主人公のドラマに 物売りの少年役で出たのだ。

そしてバックパッカーの漫画にもちょい書かれていたりする。

さらに日本人の奥さん(現在は別れているらしい)がいる。

それらを武器に日本人を相手にして自分の店のシルクを売りつけたり、 高い金が必要になるツアーや宿を勧めたり(手数料がムケさんに入る)するのだ。

そのムケさんの手口は実に日本人をよく理解しており、 繊細、かつ巧妙であった。

そのムケさんの店には多くの日本人が入り浸たっている。

だから日本人は信用してしまう。

ムケさんと周りのインド人は実にフレンドリーにふるまい、

何人もいる仲間が それぞれ日本人につき、一緒に町案内をしたり、ムケさんの店でだべって、チャイを飲ませたりして、リラックスさせる。

何日も彼らと過ごした日本人は 親切にされたお返しに ムケさんの店で布やらシルクやらを買ってしまうのである。

ムケさんは勧めはするが強要はしない。

それが大きな手口だ。

義理と人情に熱い日本人、 そういう繊細な手口に騙されてる事に全く気づかず、

今まで優しくしてくれた恩と 他のインド人と違ってしつこく勧めないところに感動し、

何かお礼を、と買ってしまう。

友情だ といって、涙して帰る輩も多い。

事実、日本人がバラナシに行った際、ムケさんと出会って感動したというブログやら体験談が無数に出てくる。

彼らに共通していることは、

ムケさんと楽しく過ごし、最後に必ず何かを買っている

と言うことだ。

まあそれが旅の醍醐味になるのであれば、本当にそれでいいと思う。

ムケさんと楽しく過ごす時間も旅の大きな思い出になることだってあるだろう。

しかし薔薇子はバラナシに滞在中、限られた時間を自分の足で好きに歩きたい。

ムケさんと一味、そしてムケさんと絡む旅人気取りの日本人と絡みたいなんてこれっぽちも思っていないし、シルクもいらない。

だから連日ムケさん一味に話しかけられて店に連れて行かれそうになるのが鬱陶しいこと極まりなかった。

それに加え、薔薇子がなぜムケさんを信用しないのかというとこの後の話につながる。

薔薇子がムケさんの店に行ったとき、

シンジとやらが その深夜特急のワンショットを切り取った写真やムケさんが出ている漫画を見せてきた。

さらに 旅猿で来た東野と出川の写真

ガンジス川でバタフライでロケに来た長澤まさみと中谷美紀の写真

そして竹野内豊がバケーションで来たという写真を見せて来た。

薔薇子は感心してしまった。

「芸能人に!!」


ではもちろんなく、こうやって次々と信用させていくことにだ。

ムケさんが一緒に写ってるのは竹野内豊だけで あとのは遠くからロケの風景をとったものなどであった。

しかもその竹野内豊、 どうみても竹野内豊ではないのである。

小太りで、頭ボサボサ、無精髭が生えていて、

なんと言えばいいのか、よく漫画で引きこもりとして描かれそうな男の風貌。

ビーチボーイの爽やかさのかけらもない不潔っぽさ。

薔薇子が「これ絶対竹野内豊じゃない! 」

というと写真を裏返し 竹野内豊takenouchi yutakaと汚く書いてあるのを見せてきた。

竹野内豊が送って来たのだという。

竹野内豊が懇切丁寧にそんなことするもんか。

薔薇子が「絶対違う! 」というと

そのインド人は 「絶対竹野内豊だよ! 昔だからわかんないんだよ!」 とか言ってくる。

すると一緒に見ていた日本人は

「確かに少し今より太ってるけど、本当だ、竹野内豊だ~。」 とか言い出した。

こうやって騙される日本人のなんて多いことか!

その写真の竹野内豊だという男が

竹野内豊と同じなのは目と口と鼻とヒゲがあるところだけである。

騙されている人に何を言っても無駄なのでもう何も言わなかった。


薔薇子がムケさんとやらと話したとき、ムケさんは実に自然な流れで

「自分は昔とある占い師にお前はムービースターになる

そして日本人と結婚するとか云々をすべて当てられたことがある 」

という話をしてきた。

薔薇子は すっかりあんたたちを信用しましたよ

というふりをして フレンドリーに話し、 「へー占ってほしー!」 と言った。

このように日本人が食いついたらムケさんの思惑通りである。

「その占い師は2日前にバラナシに来て明日帰るから占って欲しいなら行けば?

今しかいないから行きたいならシンジが案内するよ?」

とムケさんは期間限定を強調し、そう言った。

(これがバラナシで横行する占い師ぼったくり手口であることを知った。

さくら剛さんの著作「インドなんか二度と行くかぼけ!」の中でも全く同じ手口のものが出てきます!!

インドなんてもう絶対に行くかボケ! …なんでまた行っちゃったんだろう。 (幻冬舎文庫) [ さくら剛 ]

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感想(2件)

バラナシに行く際はご注意を!!)

薔薇子はぼったくられることを承知の上で 「いくいくー! 」と言った。

もし日本人的感覚でそんなに高い値段でなければ 占ってもらおうと思ったのだ。

そもそも薔薇子は占いとかそういう部類のものが好きであるし ぼったくり集団にすすめられる怪しい占い師にあれこれ言われるなんて なんだかすごく面白そうではないか。

そのシンジやらなんやらについて行き 未知の世界に足を踏み入れることに ワクワクしていたのである。

続きは「旅行記3〜怪しい占い師」で。

インド旅行記3 〜怪しい占い師〜
※トップ画像のインド人は「怪しい占い師」ではありません。薔薇子がお金を払って写真を撮らせてもらった蛇使いです。カメラを向けたらお金を払えと言われたので払った。おかげで良い写真が撮れた。インド旅行記2の続きです。...

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