インド旅行10 〜入院編③帰れなくなった日〜

世界ドタバタ旅行記

インド旅行記9〜入院編③インド名物〜はこちら↓

インド旅行9 〜入院編②インド名物〜
前回のインド旅行記「インド旅行〜入院編①プロローグ〜」はこちら↓薔薇子がインドの病院で入院した原因は食中毒だと思われる。バクテリア(菌)がスタマック(腹)に入ってどうたらこうたらって医師が言ってたので多分そ...




インドの病院に着くと、すぐさま薔薇子は点滴を打たれ、入院を余儀なくされた。

夜中の3時くらいに病院へ行ったのだが

次の日の12時にバンコク行の飛行機に乗る予定だった薔薇子は

飛行機に乗れるか心配で心配でしょうがなく

何度も看護師に

「どうしても飛行機に乗らなければいけないんです」

と涙ながらに訴えた。

しかし返事はいつも曖昧で

結局、担当医に

「バンコクへは、いけません。」

と告げられ、薔薇子はワンワン泣いた。

そして尿検査やら血液検査やら便検査やらなんやらをたくさんやらされた。

インド人が何を言っているのか全くわからないので

自分が今どんな状態なのか、

ただの下痢なのか、食中毒なのか、

それとも肝炎とかにかかってしまったのかとか

全くわからない。

検査を受けていくにつれ、

薔薇子はだんだん恐ろしくなってしまった。

妊娠してる時にお腹に変なものをあてながら、

中にいる赤ちゃんを確認するような装置(エコーのことだと思う)で

検査をしたときである。

その検査室の中には3~4人の医者だか看護師だかがいて、

薔薇子にそれをあてながら何やら話している。

それをあてている一番えらいとおもわれる女ドクターはなぜか白衣をきておらず

普通にサリー(インド人女性の私服)をきていた。

これもインドクオリティなのだろうか。

何を話しているのだろう

ヤバいことになってしまっているのではないだろうか。

途中、彼らの会話の中で

ミリオン

という単語が聞こえた気がする。

インドの第二言語は英語なので

富裕層たちはヒンディー語に英語を織り交ぜながら話す。

だから薔薇子は

「あーあ、かわいそうに、この日本人。

100万人に一人しかかからない菌にやられちゃったよ。」

なんて彼らが言っているのではないかと恐れおののいた。

途中、薔薇子をおいてドクターたちが消え、

看護師だかなんだか仏頂面した太ったおばさんが一人病室に残った。

恐ろしくて仕方なかった薔薇子は

とりあえず容態だけでも伝えてくれと

そのおばさんに

「Am I OK?(私、大丈夫ですか?)」とたずねた。

すると彼女は仏頂面のまま首を横にふったのである。

…!!!

「Am I sick!?(私は病気ですか?)」

「Yes.」

「Am I heavy sick?!(重い病気なんですか?!」

「Yes.」

そう言われた瞬間、薔薇子の視界は真っ白になった。

重い病気…

「Am I going to die…??(私、死ぬんですか…?」

そう質問すると彼女は

フー

とため息をつき、それ以上何も言わず黙りこみ、えも言われぬ顔で薔薇子を見つめている。



!!!!!

死ぬんだ…

私死ぬんだ…

そう思っていると医者たちが帰ってきて、私はカーテンで隠された場所に座らされた。

こんな…インドのカルカッタなんかで死ぬなんて。

いやだ。

日本に残している人たちにもう一度会いたい。

薔薇子もインドで死んだら、ガンジス川に流されるのだろうか。

いやだ。

インドの人たちにとっては聖なる川でも、ヒンズー教徒でもなんでもない薔薇子にとってはただのドブ川だ。

いやすぎる。

バラナシで何度か体を布でぐるぐるに巻かれ

何やら大声で掛け声をする男たちにかつがれて

まるでお祭りの神輿のように扱われ

ガンジス川に流されに行く亡骸を見かけたが

薔薇子も変な布でぐるぐるにされ、

わっしょいわっしょい言われながら

ガンジス川に流されるのか。

ガンジス川。インドでは死者が出るとこの川に流す。


その時は本当にそんなことを考えていた。

死ぬ時だけでも日本に返してくれないものか。

最愛の人たちの顔をみてから死にたい。

日本にいる大事な人たちの顔が走馬灯のように頭を次々とよぎっていく。

カーテンに隠された薔薇子に付き添っていた別の看護師に

震える声で

「私重病なんですね?」

と聞いた。

するとその看護師は周りを気にしながらひそひそ声で

「そんなに重くないわよ」

といった。

しかし薔薇子はこの看護師が気を使っていってくれてるのだと思い、

「私すごく怖い。」

と言って泣き出してしまった。

すると泣き声に気づいた一番えらいと思われるサリー姿の女医が

「そんなに重くないわよー」と叫んで薔薇子を呼び

また検査を始めた。

「どうして、泣いたの?一体誰が重い病気だなんて言ったの?まだ検査終わってないけど多分大丈夫よ!」

誰が言ったかって?

あなたの隣にいるその女だよ!

薔薇子は

「じゃあ日本に帰れるんですね?」

とだけたずねた。

すると

「どうして帰れないことがあるかしら?もちろん帰れるわよ!!」

と言ってくれた。

検査を終えると

「うん!大丈夫!!」

と言って、彼女はにっこり笑った。

その時の安心感といったらなかった。

薔薇子はサンキューサンキューいいながら検査室をあとにしたのであった。

続きはこちら↓

インド旅行11 〜入院編④インドでの入院生活〜
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