『トイストーリー4』の評価!愛せない6つの理由

ディズニー映画

「傑作とは人の心に触れる映画だ」byジョン・ラセター

『トイストーリー4』はあなたの心に触れる作品でしたか??

賛否が分かれたこの作品。
この作品を「傑作」だという人も「駄作」だという人もどちらの気持ちもわかります。

しかし、薔薇子は自分の胸の「内なる声」を聞き、この作品を
「傑作!!さすがトイストーリーシリーズ!!!」とはどうしても言えませんでした。

その理由は、映画を見終えた後の実感です。

『トイストーリー3』を見終えたときの「喜び」や「感動」というような感情は出てきませんでした。

「悲しみ」「疑問」が残り、なんとも言えない微妙な心境になりました。

今回は薔薇子が『トイストーリー4』を受け入れられない6つの理由を徹底的に述べていきたいと思います!

1、アンディの思いはどこに?!

アンディがずっと大事にしてきたおもちゃウッディ。

『トイストーリー3』では大学に連れて行こうとしますし、エンディングでは、ボニーにウッディを渡すのを少しためらいます。

ボニーが「私のカウボーイだ!」と言ってウッディに手を伸ばすのに、アンディはウッディをもつその手をボニーから離します。

そしてアンディは、悲しそうな顔をするボニーにウッディを渡すことを決意します。

そしてボニーにウッディの素晴らしいところをたくさん話すのです。

それはアンディが「ウッディをものすごく大切にしてほしい」という心の現れです。

アンディの話を真剣に聞くボニー
ウッディを抱きしめるボニー

そしてウッディを渡すとボニーはウッディを大事そうに抱きしめ、アンディはほっとした顔をします。

「この子にならウッディを預けても大丈夫だ」という顔をするのです。

そんなウッディが『トイストーリー4』では、埃まみれ、踏み潰され、いないような存在にされますね。

最終的に(ウッディの意志だとはいえ)ボニーはウッディをなくします。

それをアンディが知ったらどう思うでしょうね。

大人になっても手放したくなかった大事な宝ものを、欲しがる女の子を信じて渡したら、「大切にしなかった挙句になくしました」なんて。

アンディの失望した顔が目に浮かびそうです。

『トイストーリー4』がなければ、私たちは3のラストを見て、アンディと同じようにウッディが新たな所有者の元で大切にされるだろうという幸せな想像ですみましたよね。

アンディのウッディに込めた思いは本当どこに行ってしまったのでしょうね。

2、おもちゃを大事にしない子になってしまったボニー

『トイストーリー3』ではボニーの家はサニーサイド保育園と対照的に描かれます。

子供たちがおもちゃをめちゃくちゃに扱うサニーサイド保育園の場面から一転、ボニーの家ではおもちゃたちは大切にされ、連れてこられてしまったウッディも子供と一緒に遊ぶ幸せを感じるほどです。

また、3のラストではアンディはボニーを「おもちゃを大事にする子」と言っています。

そんなボニーが一転、4ではおもちゃを大切にしないわ、忘れるわ

こんなに大切にしない子でしたっけ?ボニーって。

確かに現実の子供はそんなものです。現実の子供としての描き方はうまいと思います。

お気に入りのおもちゃはどんどん変わるし、忘れ去られてしまうおもちゃもたくさんあります。

しかし、4のアニメーターたちも、3で描かれてきたことをボニー以上に忘れすぎではないでしょうか。

3、フェミニスト思考はもういい

最近のディズニー作品は女性の「強さ」を誇張しすぎです。

『トイストーリー4』のボーピープはやたら強くて、ウッディの情けなさが強調されるほど。

この背景は、「ジョン・ラセターのセクハラ問題、そしてピクサー社が男性優位の会社であることの返上として描かれた」というが噂としてまことしやかに囁かれています。

また、『トイストーリー』ではボーやミセスポテトヘッドぐらいしか女性キャラが少ないことが指摘されていました。

真相はわかりませんが、もしそうだとしたら、そういう「大人の事情」を作品に反映させないでほしいです。

ただ、「良い作品」を創ることだけを意識してほしい。

『アラジン』の実写も、おおむねとても良かったのですが、ジャスミンが強い女性として立ちあがるフェミニスト思考なシーンが歌と共に出てきたときにはうんざりしました。

かく言う、薔薇子も女性ですが、別に映画にそういうメッセージを押しつけられなくても自分が強く美しく生きていれば良くないですか。

ましてやディズニー映画にそういう社会派みたいなものを盛り込まないでほしいです。

ウォルト・ディズニーもジョン・ラセターも大人も子供も楽しめる作品を望んでいますが、あくまでも「大人の中にある子供の心を呼び覚ましたい」という気持ちでやっていました。

現実世界に引き戻されるような、「社会派」みたいなことは別の映画に任せておいてください。

4、「トイ」ストーリーではなく「ヒューマン」ストーリー

最後、ウッディはおもちゃとして生きていくのではなく、自分の自由を選びます。

それが『トイストーリー4』の素晴らしさだという人が大勢いるわけです。

「自由に生きる」という人生観は薔薇子自身本当に好きな考え方ですし、自分もそのように生きて行こうと思って、今もこうやって好きなもののブログを書いているわけですから、そこを批判する気は毛頭ございません。

ただこの映画における「自由に生きていく素晴らしさ」というメッセージには、どこか違和感を覚えます。

というのはウッディは人間ではなくおもちゃだからでしょう。

トイストーリー3部作のなかでウッディは何度も自分がおもちゃであることに誇りを持ち、子供と遊ぶ幸せを説いてきたのです。

しかし4ではその人生を捨てるわけですね。

「自由讃歌」に感銘を受けた人たちは「トイストーリー4を嫌がる人は、日本人特有の自己犠牲の精神を持っている」という意見を持っているようです。

しかし果たしておもちゃが子供の所有物として生きることは「自己犠牲」なんでしょうか?

三部作では、おもちゃたちが子供と遊ぶ幸福が何度も描かれていたのに、「自己犠牲」とそれを唱えるのには甚だ呆れます。

加えてこのトイストーリー4には「人間としてのメッセージ」を押しつけられる窮屈さすら感じられます。

『トイストーリー』の何が衝撃的な感動だったかって、私たちが知らなかった「おもちゃの世界」を見せてくれたことです。

人間の世界では想像もつかないような別世界がそこには広がっている。

むしろそれが「自由な」発想から始まったと言えると思うのです。

しかし、4ではその「おもちゃの世界」が奪われ、いつの間にか「人間の世界」にとって変わられてしまいました。

いつの間にかウッディは、「人間」になってしまったようです。

「私たちはこう生きるべきだ」というのをウッディが教えてくれるというメッセージがあるようですが、私はそれよりもウッディがおもちゃとしての生き様を見せてくれる方が良かったですね。

『トイストーリー』でウッディがバズに投げかけたセリフ

「お前はおもちゃなんだ!」

というのを、ウッディにそのまま言い返したい、そんな4のラストでした。

5、名曲「君はともだち」にそぐわない内容

『トイストーリー』シリーズにおいて欠かせない名曲

「君はともだち」

この歌詞の意味は「いつも一緒にいるよ友達だから」
というものです。

これは「アンディとウッディ」の仲、そして「ウッディとバズの仲」を歌ったものです。
ジョン・ラセターがそう語っています。

そして『トイストーリー3』のラストでもアンディはウッディのことを

「ウッディの一番すごいところは友達を見捨てないってとこ」
「絶対に何があってもそばにいてくれるんだ」

と語っています。

しかしウッディは、『トイストーリー4』では自らの自由を大事にし、仲間の元を去ります。



えっっ…!

6、ジョン・ラセターの不在

「トイストーリー4はウッディとボーのラブストーリーだ」と『トイストーリー3』の公開時に発表され、胸が躍ったものです。

そう、その当時は「バズとウッディがボーを探しにいくストーリー」ということでした。

それはジョン・ラセターの脚本。彼はトイストーリーの生みの親であり、ピクサー社を大きくした、第二のウォルト・ディズニーとも呼べる存在です。

しかし製作途中でジョン・ラセターがセクハラ問題でピクサー社を退職します。

彼の書いた脚本は4分の3が書き直しとなりました。

エンドクレジットには彼の名前すら乗っていません。

さらにジョン・ラセターと一緒に『トイストーリー』を製作してきた昔からいるアニメーターたちもこの作品にはほとんど関わっていないのです。

1,2の監督ジョン・ラセター
3の監督アンクリッチ

『トイストーリー』シリーズを育て上げた人たちが、ほとんどいないこの作品。

やはり、今までのシリーズと違ったものを感じるのはこれが原因かもしれません。

『トイストーリー3』製作時にはラストシーンが一番初めに決まっていましたが、『トイストーリー4』は半分作り上げてもラストシーンが決まっていなかったそう。

あらゆるラストシーンを検討した結果、今のラストシーンをスタッフたちと話し合ったときに、衝撃を受けるスタッフや涙を流すスタッフもいて、その様子をみて監督のジョーは、「ラストはこれでいこう」と語っていました。

衝撃的で涙を流すラスト。

「意外性」という衝撃は映画にとって重要なこととは思いますが、もっと別の方法がなかったか、考え直してほしいと思うのは、薔薇子のエゴなのでしょうか。

ジョン・ラセターのセクハラ問題に関しては、なんとも言い難いものがありますが、彼が創った脚本での『トイストーリー4』を見てみたかった気持ちは拭えません。

〜最後に〜

散々批判してしまいましたが、『トイストーリー4』はいろんな面で素晴らしい作品ではありました。

ディズニーピクサー作品のトイストーリーシリーズでなければ絶賛したでしょう。

映像も美しいものでした。

しかしウッディが仲間の元を離れるのは、ミッキーがミニーと別れるようなもの。

「ウッディは仲間といる」

というある種、固定観念とも言える考え方かもしれませんが、その理想を覆すようなことはしないで欲しかったです。

ディズニーないしピクサーは

「夢を見させてくれる場所」
「私たちが経験したことのない世界に連れて行ってくれる場所」
「仲間がいつまでも一緒に暮らしている場所」

そこには現実世界はいりません。

理想のままでいて欲しかったのです。

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