ブログを始めて2ヶ月が経とうとしています。
毎日1〜2記事挙げていた当初のハリキリ薔薇子は幻と消え、
今はブログを書こうとノートパソコンを開くと、
魔法のように目の前からパソコンが消え、
部屋の掃除始めたり
眉毛を抜いてみたり
普段読み返さない漫画を読み返してみたり
ポエムを書いてみたりしている自分に気づくのです。
そういうやりたくないタスクがある時についついやっちゃうリストを一通り行ったので、
重い重い腰を挙げ、昔の自分が書いた旅行記をコピーアンドペーストしたいと思います。
以下が薔薇子が学生時代に書いたポーランドを旅した記録です。
(やっとポーランド本編が始まります。)
一説によると
人が一生を終えるまでに出会える人の数は
2~3万人らしいです。
薔薇子は22年と数ヶ月の歳月を経て
何人の人と出会ってきたのか
検討もつきません。
きっと忘れている人なんてざらにいるでしょう。
そんなこんなで薔薇子は昨日ふと
あるおじいさんの事を思いだしました。
そのおじいさんも薔薇子の一生の2~3万人のうちの一人なのでしょうか。
すっかり忘れていました。
そのおじいさんとはポーランドのワルシャワで出会いました。
イタリアから飛行機でポーランドに飛んで
ワルシャワの空港に着き
おさえていたホテルを目指し
バスに乗ったときのことです。
薔薇子がおさえていたホテルは
旧市街(OLD TOWN)という所にあり
空港から旧市街に向かうバスに乗って向かいました。
旧市街に向かうバスには乗れたのですが
何個目の停留所で降りるかはわかりませんでした。
ガイドブックには
「空港から旧市街まで約20~30分」
と書いてあったので
とりあえずバスが動き出して25分たった停留所で降りようと考えていました。
25分たったくらいに降りようとしたら
同じくそこで降りようとした
どっかのヨーロッパ人のカップルが、いかにも旅行者な薔薇子を心配して声をかけてきました。
「あなた旧市街に行くならまだまだ乗らなきゃダメよ」
みたいな事を言ってきて
25分たったのに
まだまだ乗らなきゃいけないなんて
こりゃどこで降りればいいか検討もつかなくなったぞ
と思い
しかも夜だったので
プチパニックを起こしていると
向かい側に立っていたおじいさんが
プチパニック症候群に陥っている
一人の哀れな外国人の女に
話しかけてきました。
おじいさんはなかなか年をめされておりましたが
黒いハットにロングコートという
まさにヨーロッパの紳士的な身なりで
話し方なんかもなかなか紳士で
「紳士の鏡」
といった様子のお方でした。
そのおじいさんは
「私の降りる停留所の一つ前があなたが泊まるホテルのある停留所ですよ。」
と教えてくださり
何度も「ありがとうございます。」
というと
「私は人を助けるのが好きなんですよ。」
と何度も言っていて
色々話しかけてくれました。
薔薇子が降りる停留所に着くと
おじいさんの家がある停留所ではないのに
おじいさんも一緒に降りて
「ここからでも私の家まで歩いていけるから大丈夫ですよ。」
と言い
薔薇子を停留所から
ホテルの前まで連れて行ってくれました。
停留所から迷うといけないと思ったんですね。
ホテルが建つ旧市街の町並みは
とても美しく
広々とした通りに
きれいな装飾が施された街灯が並び
その中をおじいさんはステッキを持った手を振りながら
(いや、ステッキを持てたかどうか
定かではありませんが
まさにステッキを持っているような容貌だったので
記憶が歪曲されてるかもしれません
でもたぶんステッキを持っていました。)
暗闇の中に消えていきました。
まるで映画のワンシーンのようでした。
「最上級の紳士」
といっても過言ではない
そのおじいさんの後ろ姿を見送りながら
薔薇子は名前を聞けばよかったと
そして写真を撮らせてもらえばよかったと
後悔しました。
名前を聞いたところで
あのおじいさんのことですから
「名を名乗るほどのものではございません」
ということが安易に予想されますが
きっとそのときの薔薇子は
そのおじいさんが薔薇子の歴史に関わった
という記録が欲しかったんだと思います。
あのおじいさんはずっとワルシャワに住んでいるそうです。
ワルシャワといえば第二次世界大戦のときに
めちゃくちゃに破壊されつくし
戦争の犠牲となった都市で
有名です。
(今は戦争中に破壊されたワルシャワの旧市街を
戦前の街の美しい姿に戻そうと
ひび一本という細部にまでこだわって
復刻した)
あのおじいさんもあの激動の時代を生きたのでしょうか。
あのおじいさんがどのように生きてきたのかはわかりませんが
薔薇子があのおじいさんの歴史の一部になったことは事実です。
東洋人の
ちゃらんぽらんな
小娘が
例えあのおじいさんがすっかり忘れたとしても
おじいさんの歴史の、おそらく大半はポーランド人の
2~3万人うちの一人となったのは
事実です。
そしてあのおじいさんは
薔薇子の貴重な2~3万人のうちの一人であるのです。
本当にすっかり忘れていたおじいさんの存在ですが
昨日ふと
この記憶が引き出しの奥底から
ひっぱりだされたのは
無意識に
あの時薔薇子が感じた
おじいさんを忘れたくないという気持が
あの時の旅行から歳月を経た今
蘇ったのだと思います。
だから記憶が薄れないうちに
あのおじいさんと出会ったということが
薔薇子の中から消えてしまわないうちに
この日記を書きました。
薔薇子の中から消えてしまった人は
一体何人いるのでしょうね。
薔薇子は忘れたくありません。
忘れたくないです。
って言いつつ
昨日居酒屋のバイトをしていたら
「昨日も飲みに来たんですよ、覚えてますか?」
とお客さんに言われ
全くもって覚えていなかったので
軽くスルーしたら
そのお客さんがいる席に行くたび
「自分は覚えられていなかったんですね」
と言われ続けた
薔薇子でした。
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