前回の話の続きです。前の記事はこちら↓
だまそうとするインド人ををだます作戦を決行することにした。
薔薇子はムケさん一味(日本語を操って毎日カモにしようとウザ絡みしてくるインド人集団)に
金、クレジットカード、トラベラーズチェック
すべてを盗まれたことにして、それを告げることに決めた。
大金を失った薔薇子をどう扱うかがミソである。
彼らは
「日本人が好きだし日本語を話したいから仲良くするだけであって
お金をとりたいわけではない。」
と耳にタコができるほど言っていた。
もし彼らのいうことが本当なら
彼らは大金を失っても、薔薇子に優しく接するだろう。
そうなったら、彼らは白である。
彼らをだます輩と決めつけた薔薇子も考え直さなければいけない。
早速次の日、シンジとその友達に話かけられた。
シンジは映画に行くのだという。
一緒に行かないか誘われた。
私は「ぶらつくからいい。」と断った。
すると
「なんで?行こうよ!お金出すからさ!」
と例のごとくしつこく言ってきたので
薔薇子は
背後に影を負い、さも悲しげな様子で
「実はね、私昨日大金を盗まれたんだ…。
カードもお金もトラベラーズチェックもすべてね。
だから他の財布にいれたちょっとのお金を節約しなきゃいけないんだ。」
と告げた。
演劇学専攻卒(薔薇子の大学の専攻)の本領発揮である。
(演技したことないけど)
すると
「いくら余ったの?」
と聞いてきたので
「400ルピー(800円、インドで節約すれば2日過ごすことは可能である。)」
と答えた。
2日間の滞在費を考えると、
シンジ(ムケさん)の店の土産物は到底買えない値段であろう。
「そんなにお金なくてこれからどうするの?」
と聞いてきたので、
「トラベラーズチェックはカルカッタに戻ったら再発行してもらえるし
寝台列車のお金はもう払ってあるから大丈夫!」
と告げた。
トラベラーズチェックとは、海外旅行者の
盗難•紛失に備えた小切手のようなもので
これを持っていれば多額の現金を持ち歩かなくて済み、
様々な土産屋やレストランで使用できるのでお金と役割は変わらないが
使用時にサインをしなければならず、
サインがないとお金と同じ価値がでないので
失くしたときは再発行できる
といった画期的なお金的なアレ
である。
実はトラベラーズチェックなんか薔薇子は持っていなかったのだが、
あまりに大それた嘘をつくと呑気に旅することなんかできない。
2日もフラフラしてたらばれてしまう。
あと2日残ってるバラナシの旅を呑気に過ごすためにも
巧妙な嘘は必要であった。
シンジの顔の表情は曇った。
薔薇子に同情して曇ったのではない。
カモを一人失ったことに曇ったのだ。
シンジははっと思いついたように
「うちの店(ムケさんの店)、トラベラーズチェック使えるよ!」
と言ってきた。
「だから再発行してもらえるのはカルカッタなんだってば」
と薔薇子は言った。
こうなることを予想してである。
話が一段落すると
おそらく日本語がわからないシンジの連れが
「映画行こうよっ!」
とまた言ってきた。
するとあのしつこかったシンジが
「ぶらぶらって言ったよね!ぶらぶらするんだからダメだよ!!」
と言ってすぐに薔薇子とバイバイしたのだ。
黒だ。黒である。
それから2日、彼らが話かけてくることは二度となかった。
いくら日本人が好きだからって、
彼らが好意だけで話かけてくるなんてあり得ないのである。
例えば私たち日本人が、いくらアメリカ人が好きで英語を話したいからと言って
何人ものアメリカ人を手取り足取り無償で案内し、お茶を出し、
その人の旅が続くまでそれを続けるなんて
そんなことはするわけない。
彼らはそれを年柄年中やってるのだ。
ましてやインド人。
それに本気で気づかない日本人は相当純粋で薔薇子がスレているのだろう。
まぁ彼らが、楽しい思いをして金を払ってるのならば、
それもそれはいいと思う。本当に。
コメント
凄い方法を思いつきましたね!ご自身の体験ですか?騙したと言っても誰も損してなくて良かったです笑
もし行く機会があったら使います笑
記念すべき初コメありがとうございます!!!はい、私の経験です!!もうとにかく穏やかに過ごせるために必死でした笑
是非ぜひ使ってみてください!